「マルチンのはつめい」を知っていますか?
児童向け小説「マルチンのはつめい」は、万能自動翻訳機の話です。6,7階建てアパートの地下で、祖父と一緒にマルチンは、その機械を発明しました。大型コンピュータほどの大きさで、各国語用、そして各動物用のマイクロホンが備え付けてあり、自動的に翻訳されます。
発明のうわさを聞き、アパートの各階の住人とペットが、次々と訪れて翻訳機の前に立ちます。ペットたちは、ある者は飼い主を賞賛し、ある者はこの時とばかりに不満を爆発させます。飼い主たちは、思いがけないペットたちの意見に落胆します。
アパート中は大混乱になりますが、ネズミが機械の中枢部をかじって壊してしまいます。機械は最後に言葉を残して沈黙し、アパートに平穏が戻り、マルチン達は翻訳機を修理することなく、倉庫にしまいました。
最後の言葉は、各国語、各動物語で「人と動物は、それぞれの世界で生きるべきであって、まぜこぜにするべきではない」といった主旨が述べられていました。
私がこの本を読んだのは、1970年、まさに-人類の進歩と調和-日本万国博の年です。この科学技術全否定にもなる結末に驚愕したのは言うまでもありません。
各国語の翻訳機のみならず、バウリンガル、ミャウリンガルさえ存在する現代、もう一度読んでみたい本です。 …とっくに絶版なんですけどね。
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Comments
「マルチンのはつめい」で検索して、このページにたどり着きました。
私も1970年頃、この本を読みました。未来とか科学が大好きだった小学校低学年の私に、「はつめい」というタイトルを見て与えてくれた本です。
だけどクソ生意気な小学生だった私でもこの本の高いメッセージ性が理解できなかったと記憶しています。今、私はこの本は児童文学としては駄作だったと思っています。
本当に優れた児童文学って、回転する虎がバターになってしまうような奇想天外な物語だと思う。そういう色彩豊かな物語で子供の感性は磨かれると思うんですけどね。
近代文明に警鐘を鳴らしたいオトナが、子供にこの本を読ませて満足している姿って、何か気持ち悪いですよ。
Posted by: おじさん | 2005.06.16 03:03 PM